審査の現場から
「役に立つISOに! 役に立つ審査を!」
ISO9001やISO14001等の国際規格に基づくマネジメントシステムを多くの組織が導入して活動を継続しておられます。また、これからマネジメントシステムを導入される組織があるかと思います。 せっかく、マネジメントシステムを導入し活動を継続するのであれば、組織にとり、組織の事業活動にとって役に立つものにしたいものです。
そこで、マネジメントシステムを規格の要求事項に適合させることは重要ですが、適合させること自体が導入の目的ではないはずです。マネジメントシステムを導入し活動することにより、狙いどおりの成果につなげることが本来の目的です。さらに、同じ成果を出すのであれば、効率よく成果につなげる活動にして行くことが重要です。
適合性の面では、規格の要求事項に振り回されることなく(規格の要求事項に自分達のやり方を無理やりに合わせるのではなく)、従来からある組織のマネジマントのしくみや自分たちの仕事のやり方に、規格の要求事項とその意図を上手く取り入れることだと思います。そして、継続的な活動によりマネジメントシステム導入の本来の目的である成果につながる有効なマネジメントシステムに、かつ効率的に成果が出せる効率的なマネジメントシステムにして行くことだと思います。
適合性、有効性と効率性の三拍子がそろえば、役に立つISOになります。
片や、審査は、審査基準である規格要求事項に対して組織のマネジメントシステムが適合しているかどうかを確認することです。但し、審査基準となる一つの規格に対して、それに基づく組織のマネジメントシステムは千差万別ですので、審査においては、規格の要求事項ありきの硬直的な審査ではなく、組織の規模や活動実態をしっかりと把握した上で、規格の要求事項とその意図を踏まえてマネジメントシステムの適合性を確認する柔軟性が必要です。
あわせて、マネジメントシステムの有効性の視点や効率性の視点から、審査基準に対する組織のマネジメントシステムの適合性レベルの更なる向上につながる審査をすることが役に立つ審査であると思います。
「役に立つISOに! 役に立つ審査を!」を念頭に、以上の様なスタンスで審査することを心掛けています。

JARI-RB上級審査員
塩田宏治
「やって良かったISO」と言って頂けるように!」
ISO14001(EMS)、ISO9001(QMS)では、システム及びパフォーマンスの「継続的な改善」が求められています。
認証取得当初は、思いつきでもかなりのネタが出て成果も上がりますが、審査を重ねる毎に段々ネタが尽きてくるのが実情ではないでしょうか。
どんな“打出の小槌”を振れば改善のネタ(言いかえれば課題の見える化)が出てくるのでしょうか?
改善のネタのヒントは様々な場面にあると思いますが、端的に申し上げれば、EMSでは「環境側面評価プロセス」ではないでしょうか。
環境側面に関する情報は、著しい環境側面の特定だけに使っているのはもったいないと思います。
どこで、どんなものが、どのくらい使用されているのか色々なデータが詰まった宝の山とも言えます。
これらを、常に最新状態にして生産量に見合った状態かを評価することで“ムダの見える化”が図れると思います。
QMSでは「プロセス評価」だと思います。プロセス評価は仕事の出来栄え評価であり、どのプロセスのどこにどんな課題(弱点)があるのか、わかると思います。
EMS、QMSに共通することでは、「内部監査」があります。
現状より少し高い(あるべき姿、ありたい姿)をイメージして、現状レベルと対比することで気付かなかった改善点が見えるようになると思います。
審査員は、認証取得組織(お客様)のシステムが改善され、パフォーマンスが向上することが、何よりうれしいものです。
審査員は、色々な場を経験しており、日頃から最新情報などを研修しています。
JARI-RBでは、3年間は同一リーダーが担当する事が基本になっていますので、審査員のポテンシャルを有効に活用し、上記の課題に対応していただくことも大切だと思います。
ご存じのように、審査員はコンサルティングを提供することはできませんが、規格の解釈や意図するところを説明することはできますので、審査を通じてお客様のお役に立てると思っています。
審査を通じて、お客様と課題を共有し継続的な改善に向けて“熱く語りあい”「やって良かったISO」と言って頂けるようになりたいと念じて審査の場に臨んでいます。

JARI-RB上級審査員
近藤良胤
効率的な審査にご協力を!
審査時には、質問に応じていろいろな文書や記録を見せて頂きますが、これは規格要求事項への適合の証拠を確認する作業で、不適合事項や問題点を無理やり見つけ出そうということではありません。
質問に対して時として必要な適合証拠となるものが提示されない場合があります。「ありません。」「やっていません。」という回答を頂くことがありますが、これは審査員泣かせの回答です。適合の証拠が得られないため困った審査員は「こういうことをやっていませんか?」「こういうものはあるのではないですか?」と聞くと「あ~、それならやってます。」「あります。」ということになる場合が良くあります。
これは、審査員としては質問の仕方が悪いため意味を取り違えられたと反省すべき点の一つです。審査において受審組織には適合性を実証して頂くことが求められております。質問の内容を確認して頂くなり、「こういうものならあります。」「こういうことならやっています。」と関連すると思われる事実を示して実証する努力をして頂くことも必要だと思います。
最近は、社内LANによりプロジェクターで示して頂く組織も増えてきました。 膨大な資料が電子媒体上で検索できるシステムはすばらしいのですが、時として保存してあるファイルがなかなか見つからず審査時間が浪費されることがありますので、パソコンを使用した場合の審査の効率性については工夫して頂きたいと思います。
適時に適切な資料を提示して頂くことは、文書管理、記録の管理の問題ではありますが、同時に組織の皆様がシステムに精通していることを表しておりシステムの信頼感にもつながるものです。
審査とは、審査員、受審組織双方でシステムの適合性、妥当性及び有効性を確認するための共同作業を行っているということもでき、効率的な審査にご協力頂けることを審査員としては期待しております。

JARI-RB上級審査員
山科謙一