2019年度 判定委員会委員の研修会を実施しました

2019.11.08
 今年で13回目となる環境(ISO 14001)及び品質(ISO 9001)マネジメントシステムのJARI-RB判定委員会委員の研修会を2019年11月6日(水)に実施しました。東京都が推進している廃棄物処理のスーパーエコタウン事業の施設で,東京臨海部(東京都大田区)に位置する「先進的なリサイクル施設(2社:株式会社リーテム,バイオエナジー株式会社)」及び「中央防波堤外側処分場及び内側埋立地清掃関連施設」を見学しました。

 スーパーエコタウン事業の概要としては,「廃棄物問題の解決と新たな環境産業の立地を促進し,循環型社会への変革を推進することを目的に国の都市再生プロジェクトの一環として,東京臨海部の都有地において,民間事業者等が主体となり廃棄物処理・リサイクル施設の整備を進めるもの」とのことです。

 廃情報機器類等リサイクルを行う株式会社リーテムは,使用済みの鉄系複合材及び電気電子機器類・情報通信機器類等を受け入れており,破砕選別処理後の回収品はすべて素材産業の原料として出荷しているため,ゼロ・エミッション(埋め立てゼロ)処理を実現しているとのこと。
 中国での産業廃棄物受け入れが終了したことにより, 2019年4月頃から廃棄物受入量が20~30%増加しているため,1日の処理量を増やす検討を進めているとのお話しがありました。

 食品廃棄物バイオガス発電を行う施設のバイオエナジー株式会社は,従来分別困難でリサイクルされず焼却処理されていた食品廃棄物を受け入れており,メタン発酵システムで発生させたバイオガスをガスエンジンに使用することで,1日で約2,600世帯分の電気量に相当する発電を行っているとのことです。
 また,バイオガス発電電力であることから再生可能エネルギーとして売電され,残りのバイオガスは精製された後,都市ガスとして供給することで,年間7,080tのCO2削減効果があるとのことでした。

 内側埋立地清掃関連施設では,畳の破砕処理,マットレス解体処理など一般廃棄物の処理が行われ, 中央防波堤外側埋立処分場では,近年の埋立処分量は毎年50万トン程度となっていますが,今後の受け入れ可能量としては50年分程度とのことで,1日でも長く使用できるように廃棄物削減が非常に重要であるとの認識を深めました。

 様々な組織様において,産業廃棄物の削減,リサイクルに取り組まれていることとと思いますが,現在のところ最終処分として少なからず埋立が行われています。事業活動におけるエネルギー利用と環境問題を全体的に考えて活動することを改めて感じることができました。
 品質に視点を移しますと,リサイクルにおいては選別時に他の物質を混在させない取り組みがあり,バイオガスでの発電では効率の良いガス抽出が求められ,都市ガスへの精製では供給ガスに厳しい品質が求められているとのことで,顧客満足向上も環境問題と並行して進めることの重要性を感じました。

 今回の研修会では,環境に対する取り組みを重点に進めている施設が中心でしたが,品質を軽視することなく取り組まれている姿を通じ、判定業務に必要な技術知識の会得,具体的な現場活動を確認することができ、大変有意義な機会でした。